「アートとプロジェクトの記録と記憶を語る茶話会−勉強会 vol.1(仮)」を開催します。
どなたでも、無料で参加可能ですので、興味がある方はぜひお越しください。
https://future.geidai.ac.jp/study_of_artproject/
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アートとプロジェクトの記録と記憶を語る茶話会−勉強会 vol.1(仮)
ともに考え、なにかを創り、同じ時を過ごす。
現代のアートは、美術や音楽、映像や身体表現の領域が互いに近づき、融合することで、時間を伴うプロジェクト型の表現であふれています。
そのようなアートは「いま、ここ」で体験することが重要ですが、時間や空間が隔てられた人のために、物質的なものとして残らないできごとを、文章や写真、映像によって記録し伝えようとしてきました。
しかし、絵画を画像で、公演を映像で鑑賞することのほうが多くなっている現代において、はたして記録を鑑賞するだけでアートを存分に体験することはできるのでしょうか。また、リアルに体験した人の記憶が語り継がれることで、後に感動や興奮、臨場感が伝わっていくのでしょうか。
「アートワークからアートドキュメンテーションへ」*という語に表されるように、現代のアーティストは作品の写真や映像、音源だけにとどまらない、活動やできごとを意識的にアーカイヴして社会へと接続することが求められています。
わたしたちは、これからどうやってアートをのこし、伝え、共有していくのでしょう。
そのことを「ともに考え、語らう場」として、この会を開催したいと思います。
日 時 :2024年1月15日(月)15:00-18:00
場 所 :東京藝術大学上野キャンパス・国際交流棟3Fコミュニティサロン
主 催 :東京藝術大学未来創造継承センター
メンバー:服部浩之(キュレーター/大学院映像研究科メディア映像専攻)
西尾美也(美術家・ファッションデザイナー/美術学部先端芸術表現科)※話題提供者
畑まりあ(アートマネジャー/共創拠点推進機構)
幅谷和眞(リサーチャー/未来創造継承センター)
平諭一郎(研究者/未来創造継承センター)
*メンバー所属は東京藝術大学
参加自由・事前登録不要・途中入退出自由
メンバーより
日々変化する過程そのものを探求するプロジェクト型の表現や、ある場所や状況に応答するサイトスペシフィックと言われるような表現に関心をもち、アーティストをはじめ様々な表現者とともに活動しています。仮設的で一時的な造形・空間・場を立ち上げるため、ものが何も残らないことが多く、体験をいかに記録し共有することが可能かが常に気になります。記録を起点に、これからのアートプロジェクトを一緒に模索していきましょう。
服部浩之
モノではなくコトを重視する表現活動を続けてきました。コトにイメージを与える作業は、ヒトという「事態」を社会に接続するファッションのデザインに似ているかもしれません。写真、映像、記録集、インタビュー、学術論文、プロダクト、教育設計……と、記録の形式を変異させることでコトに多様な触手という装いを与え、記憶を未来にわたそうとしてきた試行錯誤についてお話しできればと思います。
西尾美也
プロジェクトの内容や性質からつくる記録とともに、記録をみる人/つくる人の主体について考えています。障害や身体的特性等、異なる一人ひとりに視点をあてると、コトの残し方が変わり、鑑賞者や参加者の幅も変わるかもしれません。様々なメディア、環境、言語、またそこから広がるコミュニケーションの可能性について一緒に考えていきたいと思います。
畑まりあ
出来上がったモノを見た彼女は〇〇と言っていた、と彼は話していたが、おそらく△△と考えたのだろうと私たちが彼女らにこの場で伝えたことを、あの人だけが覚えているーーアートとプロジェクトの記録と記憶は、語られて模倣されて共有される間に、少し間違えられて、危うく忘れられそうになって、ずいぶん遠くまでいってしまいます。それでもなお、何かが受け継がれているのでしょうか? どこまでも手間のかかる曖昧な連続を断ち切りたい気持ちに抗って、自分も語り手/聞き手になろうと思います。そのために集まってみたいと思います。
幅谷和眞
人の名前をできるだけインターネットで検索しないように心がけています。それは、「体験とその記憶」や「記録とその再現」が、それぞれ異なるだろうと思っているからです。それでもなお、わたしたちは過去に創造された芸術作品を鑑賞したい欲望と、すでに上演された芸術表現をいま体験したい衝動に駆られます。そのために必要な「もの」や「こと」を語り合う場を、ともにつくっていきましょう。
平諭一郎
問合せ先
東京藝術大学 未来創造継承センター(担当:平、幅谷)
future@ml.geidai.ac.jp
*Boris Groys. 2002. Kunst im Zeitalter der Biopolitik: Vom Kunstwerk zur Kunstdokumentation. Documenta 11, Platform 5: Ausstelung, Ostfildern-Ruit: Hatje Cantz, pp 107-113.
グロイス・ボリス(著)、石田圭子、齋木克裕。三本松倫代、角尾宣信(訳)『アート・パワー』現代企画室、2017年