Research 研究

2021.6.29

展覧会「再演ー指示とその手順」2021

展覧会「再演 ―指示とその手順」
Re-Display: Instruction and Protocol

会期:2021年8月31日(火)~9月26日(日)
場所:東京藝術大学大学美術館 本館展示室2
観覧料:無料

本展は、複製、模倣、移行、再制作が必要な、現代の新たなメディアともいえる指示書(Instruction)をテーマに、美術館というミュージアムにおける芸術作品の再演(再現)について考察するものです。指示書に従い、複製や再現、移行や再制作が必要となる芸術作品の再演(再展示)について、その保存、継承における作品の同一性を問うことを目的としています。作品の展示を主体とせず、展示時の作者不在を想定した第三者に伝えるための指示書、記録写真、映像、参考資料など、作品に関連する様々な指示や手順、仕様をご覧ください。

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第1章 創造のために
日本絵画における下図や模本、粉本、また彫刻の原型や建築模型、漆塗りや蒔絵の制作手順を表した手板は、創造のための指示であり、再現手順の見本として存在します。また、創造のための指示としてだけでなく、歴史や社会背景、文化形成など包括的な総体としての「もの」を手本としたからこそ、新たな表現の源泉となり、多様な創造が生み出されてきました。

展示予定作品
・《手板(塗工程-本堅地見本)》
・須藤茂雄《手板(色粉蒔絵工程-箔絵見本)》
・《牡丹蒔絵手板》
・《夕顔蒔絵手板》
・《紗綾形蒔絵手板》
・《花菱繋ぎ蒔絵手板》
・《花亀甲蒔絵手板》
・《花七宝繋蒔絵手板》
・《三ツ鱗蒔絵手板》
・《桧垣蒔絵手板》
・《籠目蒔絵手板》
・《葵紋唐草蒔絵手板》
・京都絵美《截金手板》2020
・京都絵美《截金の技法》2020
・《髹漆の重要無形文化財保持者・増村紀一郎による高蒔絵手板の解説》
・《石山縁起絵巻 一の巻》
・重要文化財《石山寺縁起絵巻 第一巻》(複製)原本:14世紀中頃
・川原慶賀《長崎出島館内之図》19世紀
・石崎融思《長崎港図》18-19世紀
・加藤康司《倭蘭領東印度南方合戦外伝》2020/2021
・山田鬼斎《楠公小型銅像木型》1899
・中井川正道《場の転換から空間意識への展開》1984(本展示は模型)
・中村和延《UNIT HOUSE-TOWN -高密度住宅地における住宅の提案》2000(本展示はMOおよび図面)

第2章 再演のための指示
展覧会のたびに設置される空間展示(インスタレーション)や、常に外部からのエネルギーや物質の流入出(代謝)を伴う「生きた」バイオメディア・アートは、展示という再演(再現)を繰り返すための指示書を必要とします。しかし、再演された作品は以前の展示と同一であるといえるのでしょうか。再演のための指示書と展示記録から、作品の同一性について考えを巡らせます。

展示予定作品
・岩崎秀雄《Culturing <Paper>cut》2018-2020(製作-継代維持-修復-再製作含む)および《aPrayer》2016/2020(本展示は指示書)
・BCL / Georg Tremmel + Matthias Tremmel《Resist/Refuse》2017(本展示は指示書)
・切江志龍+石田翔太《Soui-Renn -A Figure of Impression-》2019(本展示は指示書)
・齋藤帆奈《食べられた色 / Eaten Colors-》2020(本展示は指示書)
・室井悠輔《自由の錬金術》2014(本展示は参考資料)

第3章 再制作とその継承
コンピューター、ソフトウェアなどの機器や科学技術に依存し、制作当初からデジタルデータで制作・記録されたボーンデジタルの作品を再演(再現)する際には、模倣(エミュレーション)や移行(マイグレーション)などの手続きが必要です。また、鑑賞者が参加し、体験することで成立するインタラクティヴな作品は、常に一回性をもつ再制作が繰り返されます。そのとき、オリジナルと再演(再制作)に同一性はあるのでしょうか。

展示予定作品
・ウォルフガング・ミュンヒ+古川聖《Bubbles》2000/2021
・フランソワ・バシェ《勝原フォーン》1970(本展示は指示書および参考資料、部材の一部)
・坂田ゆかり《ない者の場/ない場の地図(日本語版)》2019(本展示は2019年1月に行われたワークショップの成果を再現)
・川俣正《自画像》1979(本展示は卒業制作展時に設置された状態を初めて再現)

第X章:ミュージアムの仕様
展示予定作品
    《           》

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再演―指示とその手順
Re-Display: Instruction and Protocol
会期:2021年8月31日(火)~9月26日(日)
休館日:9/6月、9/13月、9/21火
開館:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
場所:東京藝術大学大学美術館 本館展示室2
観覧料:無料
※本展は事前予約制ではありませんが、今後の状況により、変更及び入場制限等を実施する可能性がございます。

主催:芸術保存継承研究会
助成:公益財団法人 花王 芸術・科学財団、JSPS科研費JP19H01221、JP19K21608、JP20K00211
協力:metaPhorest、東京藝術大学アーカイブセンター
ハローダイヤル:050-5541-8600

企画:平諭一郎
企画協力:松永亮太
広報物デザイン:宇髙健太郎