学生制作品の保存(2011-)
東京藝術大学は、1889(明治22)年にその前身である東京美術学校の授業が開始されて以来、学生が制作する平常制作、卒業制作、自画像を収集してきた。その数はおよそ1万点に及ぶ。しかし、美術は絵画・彫刻などの伝統的なジャンルを超えて、音楽や映像、身体表現と融合し、様々な表現が存在する芸術へと領域を広げ、紙、キャンバス、木、石、金属だけでなく、様々な素材や技法、形態の芸術へと拡張している。そこで、現代の学生制作品の保存状態を調査し、従来の「もの」を第一義とする保存・修復理念だけでなく、作品の何を保存していくべきか、コンセプトを反映した理念の必要性を検証する。
JSPS科研費JP24652028「現代美術における保存・修復ネットワークの構築」代表者:平諭一郎